飲食店でワインを飲むのは損?
人生を変えるワイン学 第26回
大阪のワインショップ「mista」で店長をしている、ソムリエの竹内香奈子と申します。
お客様から「この前、レストランでこのワインを飲んでおいしかったのですが同じワインありますか?」と写メを見せられることがよくあります。そして、そのワインをご案内すると「こんなに安かったんだ・・」とたまにいわれる方がいます。
同じワインでも、自分でワインを購入して飲むよりレストランで飲む方が価格は高くなります。それは、ビール、ウーロン茶、日本酒なども同じですよね。グラスやサービスなどの人件費、場所の提供のコストがかかるので、小売店の価格より飲食店の価格の方が高くなるのです。
よく耳にするのが、ビールや日本酒の相場はだいたい分かってもワインの相場って分かりづらいということ。それは、ワインは星の数ほど種類があり、何百円~何百万円と価格がピンからキリまであるからです。
では、できる限り安くおいしいワインに出会うためには、どのくらいの価格のものを選べばよいのでしょうか?
今回は、レストランの価格の付け方やレストランで飲むワインの価格についてご紹介します。
◆レストランとワインショップの価格の違い
まずは、レストランの価格の付け方からお話ししていきましょう。
よく仕入れ値の3倍が相場といわれていますが、それは一昔前の話。今ではできるだけ安くワインを提供するお店が増えてきています。
レストランのワインの価格は、酒屋やワインショップで購入する価格の2~2.5倍が目安となります。例えば、自分で購入するときに1000~2000円のワインは、レストランで2500~5000円となります。
また、販売価格+1000円で飲める飲食店もありますし、ワインショップで販売価格+500円でボトル飲みできるところ(小売りと飲食店が一緒になったスタイル)も増えてきています。日本に輸入されるワインは年々増え、安くておいしいワインが入るようになっているので、飲食店でも価格競争(なるべく安く提供しようという動き)が起きています。ワインはどんどん身近で日常的な存在になってきているのです。
◆レストランの価格
私は仕事上、インポーターからワインを仕入れ、一般のお客様に店頭で販売したり、飲食店にワインメニューの提案をしているので、ワインの価格をより詳しく知っています。
ワインの価格には、インポーター(輸入元)が決めた希望小売価格と、実際に一般消費者に向けて売られている販売価格が存在します。希望小売価格とは、定価のようなもので、実際にワインショップ、酒屋、スーパー、ネットなどで販売されている価格は希望小売価格より安くなっています。小売店によって異なりますが、その価格はだいたい定価の8~9掛けになっています。
飲食店の仕入れ価格は、取引量によって割引率は変わりますが、だいたい定価の7~8掛けが相場です。その仕入れ価格の2~2.5倍が飲食店メニュー価格となるのです。
ただし、3倍どころか5倍6倍とそれ以上・・・・1000円以下のワインを4000~5000円でメニューに入れている飲食店もありますので、4000~5000円出して飲んだワインがおいしくなかったら、そこのお店ではワインは控えた方がよさそうです。